我に追いつく敵機なし 元パイロットが語る、SR-71ブラックバード操縦のスリル

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SR-71は、ロッキード社が開発しアメリカ空軍で採用された超音速・高高度戦略偵察機である。愛称はブラックバード(Blackbird)。実用ジェット機としては世界最速のマッハ3で飛行できた。

開発は、1950年代後半から1960年代にかけてロッキード社の「スカンクワークス」によって極秘に行われた。初飛行は1964年12月11日1967年5月31日実戦投入。沖縄・嘉手納飛行場にも配備された。その異様な形状と夜間に出撃することから、現地では「ハブ」(Habu)と呼ばれていた。

SR-71は弾より速く飛び、延べ4000発のミサイルから逃げ、敵の弾でかすり傷ひとつ追わなかった。

 

そんなSR-71パイロットの貴重な体験記である。

 

それは月のない晩だった。いつも通り訓練任務で太平洋上空を飛びながら、ふと「コックピットの中の照明を落としたら高度8万4000フィートから見る空の眺めはどんな風だろう?」と知りたくなった僕は、直線コースで帰路を急ぐ途中、照明を全部ゆっくり落としてみたことがある。ギラギラした光を消すと夜空が顔を現す...数秒でまた電気をつけてしまった。こんなことしてるのがジェットに知れたら、なんか罰が当たるんじゃないかと怖くなったのだ。しかし臆する気持ちは、夜空を見たい欲望には勝てない。僕は照明をまたおもむろに暗くした。

 

するとなんと窓の外に明るい光が見えるではないか。夜目に慣れると、その眩いものの正体は、きらきら空を渡る天の川だった。いつもは闇の空間が存在するだけの空に、今はきらめく星々の塊が所狭しと広がっている。その空のカンバスを数秒置きに流れ星が縫っていく。瞬きながら。それはまるで、音のない花火のディスプレイだった。

 

こんなことしてる場合じゃないぞ、計器に目を戻さなくちゃな...それは分かっていたので、しぶしぶ機内に注意を戻した。そしたら驚いたことに、照明は切ったままなのにコックピットの計器が全部見えるのだ。星の光に照らされて。鏡の中には、僕の金色の宇宙服が空の輝きに白熱灯のように照らされて不気味に光っていた。最後にもう一度だけ窓の外を盗み見る。

 

こんな超スピードでも、天空を前にするとまるで静止画だ。もっと偉大な力の輝きに囲まれる我々は、なんと小さいんだろう。そう思った瞬間、僕は機内でやるどんな任務よりも遥かに意味あるものの一部になった気がした。

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第二次大戦時の日本海軍の艦上偵察機「彩雲」(C6N1)コードネーム「MYRT」も俊足の偵察機で米海軍戦闘機を振り切ってこんな打電をした。

我に追いつく敵機なし